【No.16】法人は、自然人たる国民と同様、国の政党の特定の政策を支持、推進し、又は反対するなどの政治的行為をなす自由を有し、公益法人であり強制加入団体である税理士会が、政党などを政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付するために会員から特別会費を徴収することを多数決原理によって団体の意思として決定し、構成員にその協力を義務付けた上、当該寄付を行うことも、当該寄付が税理士に係る法令の制定改廃に関する政治的要求を実現するためのものである場合は、税理士会の目的の範囲内の行為として認められる。○か×か。(国ⅡH25改)
答( × )
判例は、税理士法の規定によって公的な目的を有し、会員には実質的に脱退の自由が保障されていない強制加入団体である税理士会が、政党など政治資金規正法上の政治団体に金員の寄付を行うため、会員から5000円の特別会費を徴収する決議をすることは、税理士会の目的の範囲外の行為を目的としているとして無効とした。(最判平8年3月19日)
【No.17】経済的活動の自由は、在留外国人にも基本的に保障されるべき人権であり、法律で日本国民と異なる特別の制約を課している例はない。○か×か。(都庁H16改)
答( × )
経済的活動の自由は、権利の性質上(安全保障など)の観点から外国人に対して国民とは異なる制約を課す場合がある。例えば、放送法、銀行法や電波法などで制限がなされている。
【No.18】地方公務員のうち、住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなど公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするものについては、原則として日本国籍を有する者が就任するこの想定されているとみるべきであり、外国人が就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではない。○か×か。(国ⅡH25改)
答( ○ )
判例は「地方公務員のうち,住民の権利義務を直接形成し,その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い,若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とするもの(以下「公権力行使等地方公務員」という。)については,次のように解するのが相当である。すなわち,公権力行使等地方公務員の職務の遂行は,住民の権利義務や法的地位の内容を定め,あるいはこれらに事実上大きな影響を及ぼすなど,住民の生活に直接間接に重大なかかわりを有するものである。それゆえ,国民主権の原理に基づき,国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条,15条1項参照)に照らし,原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり,我が国以外の国家に帰属し,その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは,本来我が国の法体系の想定するところではないものというべきである。」としている。(最大判平17年1月26日)
【No.19】我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されている。○か×か。(国ⅡH12改)
答( × )
判例は「我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されているものでない」としている。(最判平5年2月26日)
【No.20】国会議員の選挙権を有する者を日本国民に限っている公職選挙法の規定は、憲法14条1項及び15条に違反して無効である。○か×か。(国ⅡH12改)
答( × )
判例は「国会議員の選挙権を有する者を日本国民に限っている公職選挙法9条1項の規定が憲法15条、14条の規定に違反するものでない」としている。(最判平5年2月26日)