■テーマ【不当利得について(第703~704条)】
■問題31
不当利得について趣旨、要件、効果について説明せよ
■趣旨
取引当事者間における公平性を期するために、形式的には財産的価値の移転に正当性が備わっていると一見思われるものも、実質的にみると当事者間において正当性が備わっていないと認められる場合には、利得を得た者は現存利益の限度内で返還義務を負う、さらに悪意の利得者には、現存利益の返還だけでなく受けた利益とその利息、さらに損害が発生している場合、損害賠償義務も負うとした制度である。
■要件
①利得を受けた者が他人の財産または労務によって利益を受けていること
②他者に損害あるいは損失を与えていること
③利得と損害ないし損失に因果関係が存在すること④法律上の原因によって生じた関係でないこと
■効果
利得者が善意の場合、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。利得者が悪意の場合、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
■テーマ
【不法行為について(第709条)】
■問題32
不法行為による損害賠償について趣旨、要件、効果について説明せよ
■趣旨
他者からの故意もしくは過失による損害を被ったものについて、損害を与えた加害者と損害の公平な分担、および被害者の救済のために、損害を被った被害者に賠償請求権を認めた制度である。
■要件
①加害行為主体について、責任能力があること
②行為そのものについて、故意もしくは過失によりなされた行為であること
③行為そのものについて、なされた行為が他者の権利、法益を違法に侵害していること
④財産的損害と共に精神的損害も損害に含まれる
⑤被害者死亡の場合は、損害賠償請求権は相続の対象となる
■効果
①被害者は加害者に発生した損害について、賠償請求可能
②精神的損害には慰謝料の請求も可能