【No.1】「法律による行政」の原理と「法の支配」の原理は、ともに公権力の行使に対する法的統制の原理としての共通性を持つが、
「法律による行政」の原理は、立法権と行政権との関係を念頭に置いて、国民代表機関である国会の制定した法律に行政を従
わせることをねらった原理であるのに対して、「法の支配」の原理は、市民社会を支配し、司法裁判所によって形成・運用される
判例法・慣習法も含めた広い意味での法が行政活動をも支配することを意味する。○か×か。(国ⅡH17 改)
答:○
解説:「法律による行政」の原理、「法の支配」とも専制的君主の支配などを経て、その反省をふまえて人権侵害を防ぐ意図から確立さ
れていったことをおさえておこう。法律による行政の原理は行政に対する民主的コントロールの重要な側面があるのです。
【No.2】封建時代の統治団体や近世の専制主義の国家では、領主・君主などの権力者が布告・布令・勅令などの形式で一方的に法
規を制定し、これを自ら執行するとともに、自己の裁判所で裁判することになっていたことから、すでに「法律による行政」の原理
が行われていたといえる。○か×か。(国ⅡH17 改)
答:×
解説:歴史的な話だけど、近世の君主で横暴に弾圧や戦争が行われた事実を思い出そう、自分の行動に対して制限を課すような「法
律による行政」の原理を取り入れることは歴史上の事実と矛盾する。このことから選択肢は×と考えよう。
【No.3】「法律による行政」の原理の一側面である「法律の優位」の原則は、行政活動は法律に違反するものであってはならず、また、
行政措置によって法律を実質上改廃、変更してはならないことを意味し、権力的行政活動であえると非権力的行政活動であると
を問わず、また、国民に不利益を課す作用と利益を与える作用であるとを問わず、等しく適用される。○か×か。(国ⅡH17 改)
答:○
解説:行政活動が法律の根拠に基づいて行われることを重視して考えると国民に対して権利制限や義務を課すような権力的行政活
動に根拠が必要で、非権力的な行政活動については適用されない印象がありますが、それによって非権力的行政活動が法律
を無視していいということではありません。法律を尊重した行政活動はすべての行政活動に共通するものです。
【No.4】「法律による行政」の原理の一側面である「法律の留保」の原則とは、およそ行政の活動は法律の根拠に基づかなくてはなら
ないことを意味する。この「法律の留保」の原則の適用範囲については、意見の対立があり、我が国の最高裁判所は、国民の自
由・平等にかかわる本質的な事項については法律の留保を要するとする本質事項留保説に立つことを明らかにし、法制実務も
この説に依拠している。○か×か。(国ⅡH17 改)
答:×
解説:後段が誤りです。日本の法制実務においては、国民の権利を侵害しするような行政活動に対して法律の根拠を要求する「侵害
留保説」を採用しています。また最高裁判所は特定の説に依拠していません。