【憲法】・解答1・田邉塾ツイッタードリル

【No.1】憲法第 3 章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り、内国の法人にも適用され、また、同章の諸規定
による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国
人に対しても等しく及ぶ。○か×か。(国ⅡH25 改)
答:○
解説:妥当である。判例は法人に対する人権規定の適用について「憲法上の選挙権その他のいわゆる参政権が自然人たる国民にの
み認められたものであることは、所論のとおりである。しかし、会社が、納税の義務を有し自然人たる国民とひとしく国税等の負
担に任ずるものである以上、納税者たる立場において、国や地方公共団体の施策に対し、意見の表明その他の行動に出たとし
ても、これを禁圧すべき理由はない。のみならず、憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎ
り、内国の法人にも適用されるものと解すべきである」とし(最判昭 45 年6月 24 日八幡製鉄事件)、また外国人に対する人権規
定の適用については「憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると
解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、政治活動の自由についても、わが
国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解される
ものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相当である。」とした。(最判昭 53 年 10 月 4 日マクリーン事件)

 

【No.2】外国人の生存権の保障について、自国民を在留外国人より優先させ、在留外国人を福祉的給付の支給対象者から除くこと
は許されないとした。○か×か。(都庁H20 改)
答×
解説:判例は「国は、特別の条約の存しない限り、当該外国人の属する国との外交関係、変動する国際情勢、国内の政治・経済・社
会的諸事情等に照らしながら、その政治的判断によりこれを決定することができるのであり、その限られた財源の下で福祉的給
付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも、許されるべきことと解される。したがつて、障害福祉年金の支
給対象者から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する事柄と見るべきである」とした。(最判平元年3月2
日、塩見訴訟)

 

【No.3】最高裁判所は、在留外国人のみを対象とする指紋押なつ制度が争われた事件で、何人も以内に指紋の押なつを強制されな
い自由を有し、当該指紋押なつ制度の立法目的には合理性がなく、違憲であると判示した。 ○か×か。(都庁H20 改)
答×
解説:判例は「憲法 13 条は、国民の私生活上の自由が国家権力の行使に対して保護されるべきことを規定していると解されるので、
個人の私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有するものというべきであり、国家機
関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、同条の趣旨に反して許されず、また、この自由の保障は我が国に在留
する外国人にも等しく及ぶと解される」とした上で、「当該自由も、国家権力の行使に対して無制限に保護されるものではなく、公
共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受ける」ものであるとし、「当時の制度内容は、押なつ義務が3年に1度で、
押なつ対象指紋も一指のみであり、加えて、その強制も罰則による間接強制にとどまるものであって、精神的、肉体的に過度の
苦痛を伴うものとまではいえず、方法としても、一般的に許容される限度を超えない相当なものであったと認められ、このような
指紋押なつ制度を定めた外国人登録法の各規定は憲法 13 条に違反するものでない」とした。(最判平7年 12 月 15 日)

 

【No.4】最高裁判所は、地方公共団体の長・議員等の選挙権は、国民主権の原則から日本国籍保持者に限られ、立法措置により、
永住資格を有する在留外国人に選挙権を付与することは認められないとの判示した。○か×か。(都庁H16 改)
答×
解説:判例は「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つ
に至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映さ
せるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止さ
れているものではないと解するのが相当である」とした。(最判平7年2月 28 日)

 

【No.5】判例は、憲法上保護される閲読の自由も、未決拘禁者においては、逃亡及び罪証隠滅防止の目的ため、また監獄内の規律
及び秩序の維持上放置できない程度の障害が生ずる相当程度の蓋然性の可能性は低く、障害発生防止上の必要な措置を採
る必要性も低いため、未決拘禁者が閲読の自由に関して制限を受けることはない。○か×か。(地上改題)
答×
解説:判例は「憲法上保護されている閲読の自由も、未決拘禁者については、逃亡及び罪証隠滅の防止という勾留目的のほか、監獄
内の規律の維持及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性が認められ、かつ、障害発生の
防止のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限りで、一定の制約は存在する」とした。(最大判昭 58 年6月 22 日、よど号ハイ
ジャック新聞記事抹消事件)