■テーマ
【無権代理の相手方の催告権について(第114条)】
■問題11
無権代理の相手方の催告権について制度趣旨、要件、効果について説明せよ
■趣旨
無権代理の状況において相手方は本人の追認もしくは追認拒絶になるか、意思表示次第で効果帰属先が変化するという、非常に不安定な状況になる。そこで、相手方に催告する権利を与え、法的な安定性を得られやすくするために設けられた制度である。
■要件
①相手方が相当期間が定め、その期間内に追認するかしないかを確答するよう本人に催告がなされたこと
②期間内に本人の追認意思表示が相手方に到達しなかったこと
■効果
本人が当該無権代理行為を追認拒絶する意思表示が行われたとみなされる。
■テーマ
【無権代理の相手方の取消し権について(第115条)】
■問題12
無権代理の相手方の取消し権について制度趣旨、要件、効果について説明せよ
■趣旨
無権代理の状況において相手方は本人の追認もしくは追認拒絶になるか、意思表示次第で効果帰属先が変化するという、非常に不安定な状況になる。そこで、相手方に取引に対する取消し権を与え、法的な安定性を得られやすくするために設けられた制度である。
■要件
①相手方が無権代理に関して善意であること
②本人の追認がないこと、もしくは本人の追認に関して相手方が善意であること
■効果
相手方の無権代理人との契約の取り消しが可能。
■テーマ
【取消権者について(第120条)】
■問題13
取消権者について制度趣旨、要件、効果について説明せよ
■趣旨
制限行為能力者の行う法律行為および詐欺、強迫により瑕疵ある意思表示を行った者の財産権を保護するために、法律行為自体は一旦有効とする一方、表意者など利害関係者のみを取消権者として認め、一旦有効となった法律行為を消滅させることができるようにした制度である。
■要件
①制限行為能力者であること(未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人)
②詐欺または脅迫による意思表示をした者であること
③上記における代理人および承継人と制限行為能力者の同意見者であること
■効果
一旦有効に成立した法律行為の取消し可。また取り消した法律行為は遡及的無効となる。
■テーマ
時効の中断について
■問題14
(都庁Ⅰ類B:H24)時効の中断について、時効の中断事由に言及せよ
■趣旨
安定した法的関係の継続性を欠いた状態に対応するために、中断事由が発生した場合に時効の経過時間を無意味なものにするという趣旨の制度である。
■要件
①請求:裁判所を通じ、権利の請求もしくは存在確認を行うこと
②差押え:差押え、仮差押え、仮処分は、時効の中断が要請されているという状態を公に呈示できる。例として、抵当権の実行などが該当する。
③承認:時効の利益を享受する人が、権利の存在もしくは不存在を権利者に伝えること
■効果
①中断によって経過した時効期間はすべてが無意味となる。
②時効中断事由終了から新たな時効が進行開始する。
③相対効(当事者、その承継人間のみで効力がある)
■テーマ
【取得時効について(第162条・163条)】
■問題15
取得時効について趣旨、要件、効果について説明せよ
■趣旨
自己の物であると無過失で信じ、占有継続を行った者は保護されるべきという社会要請に応じるために、10年の期間を定めて時効取得を認め、悪意・有過失の者には20年の長期の期間を経た後は時効取得を認める制度である。
■要件
①所有の意思を以て行われる占有であること
②平穏かつ公然に占有が行われていること
③他人の物を占有していること
④時効中断事由が存在しないこと
⑤善意無過失の占有は10年、それ以外は20年の継続した占有
■効果
占有者は占有物の所有権を取得できる